軽妙で洒落っ気たっぷり!ジャック・イベールの絶対に押さえるべき代表曲9選

イベールの有名曲ランキング【ベスト7+α】

20世紀初頭のフランスで活躍した作曲家、ジャック・イベール。

よくいえば軽妙、少し悪く言えば軽薄と受け取られるような作風が特徴です。

カンタータ《詩人と妖精》でローマ賞を受賞し、当時は有名な作曲家でしたが、現在その作品が演奏されることはあまりありません。

ニャンチーニ教授

今回取り上げるのはジャック・イベールじゃ。あまり知られた作曲家ではないのじゃが、代表曲を9曲厳選して紹介していくぞ
フランスの曲が好きなら感性に合うんじゃないかな?ぜひ聴いてみて下さいね

クラーニャ

1曲目:交響組曲『寄港地』

Jacques Ibert: Escales (1922)

ニャンチーニ教授

イベールの一番有名な代表曲じゃ

曲の解説
イベールが世に知られるきっかけになった曲です。そして最も知られている代表曲でもあります。

イベールは第1次世界大戦中、海軍士官として従軍していた経歴を持っていました。その時彼は地中海の航海を経験しており、様々な国に訪れて、そ土地の文化や風土を見聞しています。

この曲にはその時に訪れた国々の印象や、ローマ留学中に旅行で訪れたスペインの印象が、盛り込まれています。

  • 第1曲『ローマ ― パレルモ』
    ローマを出航し、地中海をシチリア北岸の港パレルモへと向かう航海を描写した曲。イタリアの航海を描いており、イタリア発祥の舞曲タランテラが使われている。
  • 第2曲『チュニス ― ネフタ』
    チュニジアの港町チュニスから、南の奥地の町ネフタへ向かう旅の情景を描写した曲。中東の旅なので、アラビア風の旋律が使われている。
  • 第3曲『バレンシア』
    スペイン東部の港町バレンシアの情景を描写した曲。曲中にはスペイン発祥の舞曲セギディーリャが用いられている。

2曲目:室内小協奏曲

Concertino da Camera by Jacques Ibert – Arno Bornkamp

クラーニャ

サックスが主役の協奏曲ですよ

曲の解説
アルト・サックスが主役の珍しい協奏曲です。

サックスは1840年代に開発された楽器で、正しい名称はサクソフォーン。比較的新しい楽器で、クラシックで使われることはあまりありませんでした。使われるとしてもだいたいはオーケストラの一部としてで、主役級で使われることはほとんどありません。

作曲のきっかけはソプラノ歌手マリー・フロイントからの依頼でした。彼女は共演したサックス奏者シーグルト・ラッシャーの演奏に感激して、彼のための曲を書くよう、イベールにお願いしました。

しかしイベールは、それまでサックスのための曲を書いたことがありませんでした。なので伝説的なサックス奏者マルセル・ミュールにアドバイスを貰い、曲を完成させました。

完成した室内小協奏曲はシーグルト・ラッシャーが独占して演奏するはずだったのですが、イベールはどうしてもマルセル・ミュールに演奏してもらいたかったようで、結局ラッシャーに渡される前にミュールが初演しました。

3曲目:フルート協奏曲

Ibert Flute Concerto – Matvey Demin

ニャンチーニ教授

この時代に作曲されたフルート協奏曲は珍しいな

曲の解説
フルート協奏曲といえばモーツァルトやヴィバルディの作品が有名ですが、イベールのこの曲は知名度は及ばないものの、それらに負けず劣らずの隠れた名曲です。

フルート協奏曲が最も盛んだったのはバロックや古典派の時代で、それ以降もチョロチョロと作られてはいましたが、目立った名作はイベールとニールセンの曲ぐらいしかありません。

イベールのフルート協奏曲は、彼の他の有名な曲に比べると、少し軽妙さが抑えられています。

4曲目:室内管弦楽のためのディヴェルティスマン

Jacques Ibert: Divertissement (1928)

クラーニャ

劇のサウンドトラックですよ

曲の解説
小規模編成のオーケストラで演奏される管弦楽組曲です。6つの曲で構成されますが、演奏時間は17分ほどの短いです。

この曲の基になったのは、《イタリアの麦藁帽子》という喜劇で演奏するための楽曲です。その中から選ばれた6曲が編曲され、《室内管弦楽のためのディヴェルティスマン》になりました。

ちなみに《イタリアの麦藁帽子》は、馬車に乗って結婚式に向かう新郎が、道中に拾った麦わら帽子のせいで不倫騒動に巻き込まれる話です。

5曲目:交響組曲『パリ』

Jacques Ibert: Suite Symphonique "Paris" (1930)

ニャンチーニ教授

第1曲『地下鉄』の再現度は中々のものじゃ

曲の解説
パリの色々な場所を描写した曲です。有名というわけではありませんが、わかりやすくて気軽に聴ける曲です。

この曲は6つの曲で成り立っており、それぞれの曲は長くても3分くらいに収まります。特に第1曲『地下鉄』の描写が面白いです。

  • 第1曲:地下鉄
  • 第2曲:郊外
  • 第3曲:パリのイスラム寺院
  • 第4曲:ブローニュの森のレストラン
  • 第5曲:旅客船「イル・ド・フランス」
  • 第6曲:祭りの行列

この曲は《ドノゴー》という風刺劇のために作られた曲がベースになりました。

地理学者が南アメリカにドノゴー=トンカという町を捏造したことがばれ、キャリアが危うくなることから始まる話で、ドイツでは映画化もされたようです。

6曲目:小さな白いロバ

Jacques Ibert Histoires II Le Petit ane Blanc SD

クラーニャ

イベールが作曲したピアノ曲の中で一番有名な曲ですね

曲の解説
ピアノ曲集《物語》の第2曲として作曲されたピアノ曲です。

《物語》は、イベールが西欧や中近東の国々を旅行や軍務で周った時に見聞きした、昔話や童話をベースに作曲されたピアノ曲集で、10曲からなります。

それぞれの曲には、昔話や童話に関連するような名前が付けられていますが、それぞれの曲がどの国の話に対応しているかは判っていません。

この第2曲《小さな白いろば》は、物語の中で最も人気がある曲の一つ。舞台はスペインといわれています。

7曲目:水晶の籠

第36回入賞者記念コンサート/石井美有 イベール:「物語」より水晶の籠

ニャンチーニ教授

水晶の籠に閉じ込められたお姫様を描写したピアノ曲じゃ

曲の解説
ピアノ曲集《物語》の第8曲です。

水晶の牢屋に閉じ込められたお姫様がテーマになっており、可愛らしさと、自由を奪われた悲しさが表現されています。

8曲目:水売りの女

PTNA2011 入賞者記念 宮澤鈴奈(A1級金賞)イベール:物語"水売り女"

クラーニャ

ラバを連れた水売りがテーマのピアノ曲ですよ

曲の解説
ピアノ曲集《物語》の第9曲です。

ラバを引き連れて市場にやってきた水売りがテーマになっており、伴奏がラバの足音を表現しています。

9曲目:祝典序曲

Jacques Ibert: Ouverture de fête (1940)

ニャンチーニ教授

日本と縁の深い曲じゃよ

曲の解説
日本政府が皇紀2600年(西暦1940年)を祝うために世界各国の有名作曲家に作曲依頼し、作曲された曲の一つです。代表曲と呼ばれものではありませんし、有名というわけでもないのですが、日本と縁の深い楽曲です。

イベールは日本に作曲を直接依頼されたわけではなく、まずフランス政府へ依頼がいき、数いる作曲家の中からイベールが選ばれました。

全部で5曲作られた皇紀2600年を祝うための曲は、東京歌舞伎座でそれぞれ別の指揮者が担当し初演されました。祝典序曲を指揮したのは山田耕筰です。

  • ベンジャミン・ブリテン(イギリス):シンフォニア・ダ・レクイエム(鎮魂交響曲)
  • イルデブランド・ピツェッティ(イタリア):交響曲イ長調
  • リヒャルト・シュトラウス(ドイツ):日本建国2600年祝典曲(皇紀二千六百年祝典曲)
  • ジャック・イベール(フランス):祝典序曲
  • ヴェレシュ・シャーンドル(ハンガリー):交響曲第1番